「節約=我慢」は間違い?脳科学から見えてきた続けられる節約術

我慢

「節約したい気持ちはあるのに、なぜか続かない。むしろストレスが増えて、気づけば浪費している。」
私も以前はそう思っていました。

しかし、節約を科学的に考えてみたことで、考え方がガラリと変わりました。脳の仕組みを知れば、節約はもっと気楽に、しかも自然と続けられるようになる。

そんな実体験を、この記事でお話しします。

「節約=我慢」と思い込んでいた私の失敗談

以前の私は、「節約=とにかく我慢すること」だと思い込んでいました。

たとえば、次のような考えです。

  • コンビニには絶対に寄らない
  • 外食は禁止
  • セールでも買い物はNG

とにかく、出費をゼロに近づけることが正しい節約だと信じていました。

しかし、現実はうまくいきませんでした。

  • 数日我慢した反動で、ネット通販で爆買い
  • 食費を削りすぎてエネルギー切れ、体調を崩す
  • 家計簿を見るたびに「まだこんなに使ってる…」と自己嫌悪

努力しているつもりなのに、ストレスばかりが溜まり、出費は逆に増えていく。
「節約のはずなのに、なんでこんなに苦しいんだろう…」

そんなとき、たまたま目にしたのが、「脳科学から見た習慣化」という考え方でした。

「節約が続かないのは、意志の弱さじゃない。脳の仕組みに逆らっているからかもしれない」
この視点に出会って、私はやっと我慢しない節約への第一歩を踏み出せました。

脳科学で分かった「続けられない理由」

私たちの脳には、「気持ちいいことは続けたい」「つらいことは避けたい」という本能的な仕組みがあります。

フロイトは著書『快感原則の彼岸』において、

”人間の精神活動は「不快を避け、快を求める」という快楽原則(Pleasure Principle)に従っている”と述べています(※1)。

これは、脳がストレスや不快を避け、本能的に心地よさを求める性質を説明する理論です。

つまり、「我慢をがんばる節約」は、脳にとってつらいこと。そもそも続けにくい方法です。

たとえば、次のような節約方法は、脳が強いストレスを感じやすい逆効果なやり方です。

  • 大好きなカフェ通いを、ある日突然「完全禁止」にする
  • 食費を一気に1万円台にまで削ろうとする

こうした極端な節約は、脳にとっては「ごほうびを取り上げられた」状態。
結果、ストレスが溜まり、ある日突然「もう無理!」と爆発して、つい衝動買い…。
私自身、何度もこのパターンを繰り返しました。

さらに怖いのが、我慢を続けると体の中で「コルチゾール」というストレスホルモンが出てくること。

Duqueら(2022)の研究では、ストレス下でコルチゾールが意思決定に影響を及ぼすと報告されています(※2)。

つまり、コルチゾールが慢性的に高まると、感情のコントロールが難しくなり、結果的に「お金を使って発散したい」という行動につながる場合があるとされています。

まさに、節約のつもりが「ストレス→爆買い→後悔」という悪循環に。

でもこれは、「私の意志が弱いから」ではなく、脳の自然な反応だったとわかったとき、ちょっとホッとしました。

「小さなごほうび」で節約が続くように|私が実践した脳が喜ぶ節約術

それまで「節約=我慢」だった私が、考え方をガラッと変えたのが、脳がよろこぶ節約を意識し始めてからでした。

ポイントは、ドーパミンという神経伝達物質。

一般的には「やる気ホルモン」とも呼ばれますが、正確には「報酬を予測して行動を促す役割」をもつ物質です。

このドーパミンは、小さな達成感を感じたときに分泌されることが知られており、「またやりたい!」という気持ちを後押ししてくれます。

つまり、無理して我慢するのではなく、達成感や快感を感じられる節約の工夫をすれば、自然と続けられるようになります。

私が実際にやってみて効果を感じたのは、次の2つです。

節約を「ゲーム感覚」にしてみた

まずやってみたのが、節約にルールとごほうびをつけること。

たとえば、
「今週カフェに行かなかったら100ポイント!」
「お弁当を3回作ったらボーナス50ポイント!」

こんな感じで、ルールを決めて、スマホのメモ帳に記録していきました。
そして、ポイントが1,000貯まったら、前から欲しかった雑貨やスイーツを「ごほうび」として購入。

すると不思議なことに、節約がちょっとした楽しみに変わっていきました。
「よし、あと一日がんばればごほうび!」と、自分に前向きなモチベーションが生まれるようになりました。

節約できた金額を「見える化」した

もうひとつ効果的だったのが、今日浮いたお金をアプリに記録すること。

たとえば「今日はコンビニに行かなかったから、浮いたお金=500円」といった感じで、使っている貯金アプリにポチポチ入力していきます。

これが思いのほか効果的で、「ちゃんとお金が貯まってる!」と実感できるのが嬉しくなりました。そのうちに、気づけば、「節約=我慢」ではなく、「節約=達成感」という感覚に変わっていったのです。

好きなことを全部ガマンするのではなく、工夫して続ける方が、ずっと気持ちもラクだし、結果的にお金も貯まる。

そう実感できた体験でした。

「我慢しない節約」が続けられたワケ

私が節約を続けられるようになった一番の理由は、「自分に合うやり方にカスタマイズしたこと」でした。

SNSや本で紹介されている節約法は、たしかに参考になりますが、全部そのままマネしてもうまくいかない…。そんな経験、ありませんか?

私も何度も挫折を繰り返して、「結局、自分に合っていないと続かない」と気づきました。

そこで始めたのが、無理をしない・心地いい節約スタイルを少しずつ試してみること。

料理が苦手なら、いきなり自炊しなくていい

私はもともと料理が苦手で、毎日自炊しようとしては挫折。
そこで、まずはコンビニ→冷凍食品→簡単な自炊と、段階的に移行するようにしました。

「今日はこれだけやれたからOK!」と、小さな達成感を積み重ねることで、自炊へのハードルがぐっと下がりました。

飽きやすいなら「月ごとのテーマ制」に

同じ節約ばかりだと、私はすぐ飽きてしまうタイプなので、「今月は電気代」「来月は食費」と、月ごとに節約テーマを変える方式を採用しました。

その月ごとにちょっとした目標やルールを作ることで、マンネリ化せず楽しめました。

気分も一緒に記録するようにした

意外と効果があったのが「気分の記録」。

たとえば、手帳やアプリに「今日はお弁当がんばった!満足度◎」など、お金だけでなく自分の気持ちも一緒にメモしていきます。

お金だけに注目するとしんどくなる節約も、「楽しかった」「気持ちよかった」という記録があるだけで、不思議と前向きになれました。

こんなふうに、自分の性格やペースに合わせて試行錯誤するうちに、我慢しなくても続けられる節約スタイルが、自然と身につきました。

まとめ|節約は「我慢」じゃなく、「脳とうまく付き合う工夫」

節約が続かないのは、あなたの意志が弱いからではありません。
脳には「快を求め、苦を避ける」という性質があり、我慢を強いる節約は脳にとって敵です。

私自身、何度も挫折しながらも、ドーパミンや習慣化の仕組みなど「脳がよろこぶ工夫」を取り入れることで、無理なく節約を習慣にできるようになりました。

  • 小さな達成にごほうびを用意する
  • 節約効果を見える化して快感を得る
  • 自分の性格やペースに合った方法で工夫する

こうした「気持ちよく続けられる節約スタイル」に出会えたことで、お金も、気持ちも、少しずつ安定していきました。

節約は、我慢ではなく「仕組み」です。あなたの脳にフィットする方法を見つければ、もっとラクに、楽しくお金を貯められるようになりますよ!

参考文献

※1)フロイト(Freud, S.)『快感原則の彼岸(Beyond the Pleasure Principle)』初出:1920年/邦訳:高橋義孝訳(岩波文庫など)

※2)Duque, A. et al. (2022).Effects of psychological stress and cortisol on decision making and modulating factors: A systematic review.

European Journal of Neuroscience, 56(2), 3889–3920.

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